| ■ 渡久地政信 語る |
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■ある出会い 今から凡そ30数年前の話になるが、著作権協会の渉外部におられた小島氏に呼ばれて、アメリカのリーズという出版社の社長に面接したことがある。 著作権協会も今日ほどに開けていない時代で、当時は銀座地区の新田ビル内にあった。 社長の話では、浜口庫之助氏の作品「黄色いさくらんぼ」と灰田有紀彦の「鈴懸の小径」、それに自作の「冷たいキッス」の3作品に出版契約を結びたいとのことであったが、契約を終えた後で、出版社社長の話は次の通りであった。 ■アメリカの社長のコメント 「貴方がたは、どうしてアメリカのジャズの後追いをするのですか? …日本には、楽器にしても古来から伝わる三味線、琴、笙、尺八など、私たち白人では創り得ないものがあるではありませんか。 その音源を基にした良い作品が出来れば、我が社は何時でも歓迎しますよ。 私、実は東洋にその点を期待して、ホンコンにも行って来ました。 しかし、駄目でした。皆アメリカのジャズの真似しています。 『さくらさくら』『荒城の月』これは日本のものです。チャイニーズではありません。 400曲余りレコードも聴きました。でも駄目でした。 でも3つの曲は違いました。直ぐにジャパニーズだと思いました。 アメリカのジャズは世界一です。貴方がたでは出来ません。 みんな真似になります。また、私たち白人には、貴方がた、日本の音楽は出来ません。 貴方がたは、日本の音楽を世界一にして下さい。 私たちアメリカの出版社はそれを待っています」 ■足元の宝を掘り起こせ このことは30数年前の話である。 他所の国の優れたものを見聞することは、良いことであるとしながらも、永い慣例で何時までもそれを真似て、追従しているようでは、出版社社長の話の通りになってしまう。 (略) これからは自らの頭脳を更に啓発して、足元の宝を掘り起こし、創造性を豊にする方向へ進むべきである。 以上、地元の文化に根ざした創作活動が大事だと、そこにしかないものだから珍重なのだ、尊いのだ。 ※出典「潮騒に燃えて」渡久地政信・自伝(サザンクロス・出版) |