島唄界の大スター・南政五郎さんの録音は、小川学夫さんが段取りをつけた笠利町佐仁の仁大造(じんだいぞう)さんという方のお宅の広間で1週間くらいかけて行いました。島唄録音は、時間通りにこなせる作業ではなく、録音者と唄者の戦いのようなものでもありました。どんな名人といわれる唄者でも、マイクの前に立ちますと、細かな唄い間違えをしたり、声を枯らしたり、三味線の抜け撥をよくしました。私としましては、いつまでも残るレコードというのが目標でしたから、一つの抜け撥も許すわけにはいきません。
「もう一度だけお願いします。」
というのが何度も繰り返されて、おしまいには、歌う人にそっぽを向かれそうになったこともあります。我々の録音をつぶさに見ていた知人が、
「こんな手間暇をかけて吹き込むとは知らなかった、これから島唄のレコードを聴く時は拝んでから聴かないと申し訳ない。」
とまで言ってくれました。またレコードを買ってくださった人たちの、心底満足したというご意見も頂戴しました。だからといってその後も録音は順調というわけではありませんでしたが・・・。
島唄録音は、いつも、綱渡りのようにひやっとする思い出が付いてきます。
その頃、私は満40歳になりましたが、これまで道楽に生きてきた万年青年としては、分別を要求されるこの年齢を拒否し続け、小川さんに
「私は40歳になりたくない、なりたくない!」
を連発し、録音後、毎晩彼と赤木名まで飲みに通い続けました。今思うと、あれは、私の青年期との決別の杯だったのでしょう。
この思い出深い作品は、レコード、カセットテープとして製作しました。今でも、根強いファンの方のために自家製のCDを、お分けしています。
【南政五郎傑作集CD収録曲】
1.朝花(あさばな)
2.俊良主(しゅんりょうしゅ)
3.花染め
4.やちゃ坊
5.こうき
6.うらとみ
7.でんなご
8.長雲
9.長朝花
10.芦花部(あしけぶ)一番
11.雨ぐるみ
12.儀志直(ぎしなお)
13.上がれ日ぬはる加那
14.六調
15.天草
(全15曲)
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